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2025/07/02new

【ACSiON/SBI新生銀行】導入企業インタビュー「偽造本人確認書類対策を強化~ACSiON導入の背景と導入効果」

| by:ウェブ管理者


インターネットバンキングなどのオンライン金融サービスの拡大に伴い、偽造された本人確認書類を用いた不正な口座開設の申込みが増加している。特に銀行では、これらの偽造本人確認書類を確実に見分け、不正口座開設を防止することが重要な課題となっている。こうした状況の中、SBI新生銀行は、偽造運転免許証などを高精度で識別する技術を提供するACSiONの『本人確認書類真贋判定 特徴資料』サービスを導入し、対策を強化した。

このサービスは、運転免許証やマイナンバーカード、在留カードにおいて、正規の本人確認書類のフォーマットのルールを網羅的にまとめ提供することで偽造本人確認書類との判断を高い精度で判定することを可能にするものだ。SBI新生銀行は、いち早くこのサービスを導入し、成果を上げている。

今回、同サービスの導入を担当したSBI新生銀行の山本氏に、その背景や効果について詳しく話を伺った。


  高度化する偽造本人確認書類、対応に迫られる銀行

本人確認書類の偽造は今に始まったことではない。しかし近年、その精巧さは格段に向上している。「現物を手にしてもわからないほど精巧なものが出回っている」と山本氏は指摘する。運転免許証の偽造が主流であったが、最近ではマイナンバーカードや保険証、在留カードなど、対象が多様化しているという。

特に運転免許証は47都道府県の公安委員会によってフォーマットが異なり、それらすべてを銀行側で把握することは極めて困難で「一部の担当者がこの地域の免許証は詳しい、といった状況はあっても、全てを網羅的に把握することは到底できない」と山本氏は当時の課題を振り返る。

これまでSBI新生銀行では、偽造と判断した本人確認書類をアルバムのように保管し、調査担当者間で共有していた。しかし、明確な判断基準がないまま偽造を特定することは難しく、担当者によって判断にバラつきが生じることもあった。
「明らかにフォーマットがかけ離れたものであれば把握できる一方、最終的な判断を銀行だけで行うことは難しい部分もあった」と山本氏は説明する。


  ACSiON導入の決め手と期待

ACSiONの『本人確認書類真贋判定 特徴資料』サービスは、SBI新生銀行にとってまさに求めていたものだった。「このサービスについては本件のようなサービスを提供している企業が他にはないと思っていた。銀行がまさに欲しくて手が届かなかったものを、ピンポイントで提案いただけた」と山本氏は評価する。

ACSiONとは以前から様々なサービスで接点があり、SBI新生銀行グループ各社へのサービス提供やコンサルの実績もあった。そのため、社内での導入判断はスムーズだった。「こういうサービスがあるなら入れよう、と速やかに決定した」と山本氏は話す。

懸念点としては、運転免許証のフォーマットが都道府県ごとに予告なく更新される点があった。しかし、「新しいフォーマットを見つけた場合、ACSiONに連携することで速やかに更新いただける。また、ACSiONもフォーマットの変更を確認してくれる」ということで、懸念は解消された。


  導入後の具体的効果と業務改善

ACSiONのサービス導入により、調査担当者が統一された基準で判定できるようになった効果は大きい。「これまでは10人の担当者がいれば10人独自の目線で見ていたが、一定の基準と照らし合わせることで、『この点がおかしいので偽造だと思います』と自信を持って言えるようになった」と山本氏は導入効果を語る。
実際に、偽造と判断できる書類の数は大幅に増加しており、山本氏は次のように数字を示した。

「当行内で偽造と判断しきれなかったものが明確に判断できるようになったものは、3〜4倍になっている」

また、「悩む時間が短くなり、正確な判断が可能になった」と山本氏は評価し、判断時間短縮も実現している一方で、それ以上に正確性の向上効果の方が大きいという。重要な成果として、正規の申込者を誤って断ってしまうケースが減少したことも、そのひとつだという。「以前はフォーマットがおかしいと思われると、基本的には口座開設をお断りすることが多かった。明確な判断基準がない中では、正当なお客様を断ってしまっていたケースも少なからずあったと思う」と山本氏は振り返り、業務面でも大きな変化を感じている。


  今後の展望と業界連携の重要性

金融犯罪対策として、SBI新生銀行は特殊詐欺やSNS型投資詐欺の被害防止に注力している。特に被害を未然に防ぐための取り組みとして、モニタリングのリアルタイム化と自動利用制限化を進めている。「犯罪者が管理する口座に被害者が詐欺被害のお金を振りこんだ場合、入金したタイミングで自動的に口座を凍結できれば、被害者に返金できる。また、当行のお客様が被害に遭うケースでも、不審な口座への送金を止めることで被害を防げる」と山本氏は説明する。

偽造防止技術の業界全体への普及については、「一つの銀行が対策を強化しても、対策できていない銀行が集中的に狙われるだけ」と山本氏は指摘する。そのため、銀行をはじめとする金融機関全体で対策の底上げが必要だと強調する。

現在、金融機関間では定期的に情報交換会が行われており、対策の高度化や情報共有が進められている。山本氏は、ACSiONのサービスを導入する金融機関が増えることで、「ユーザー会」のような形で情報を共有する場ができれば効果的だと提案する。「各社で今のトレンドや各業界での傾向を共有し、たとえばどの地域でどういう偽造が流行っているかを持ち寄って発表できる機会があれば」と期待を語る。

また、「銀行だけでなく、クレジットカード、証券、貸金など、金融機関全体、さらには業界を超えた情報共有」の重要性を強調したうえで、次のように締めくくった。

「犯罪者は一つの偽造本人確認書類を様々な金融サービスで使い回す傾向がある。そのため、業界の垣根を越えた情報共有が極めて重要である。」

金融犯罪対策の最前線で、テクノロジーと情報共有を両輪に、より安全な金融環境の実現を目指すSBI新生銀行。ACSiONとの連携により、その取り組みはさらに強化されている。

(取材、記事、編集・制作 : GoodWayメディアプロモーション事業部 @株式会社グッドウェイ )



18:36 | 取材:金融・IT業界向け

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